RCの長期融資は利益の先食い
今回は結構大事なことをお伝えさせて頂こうと思います。
物件の検討を行う際、融資期間を長くとるという戦略を目指すと
おのずと選ぶ物件はRC、もしくは重量鉄骨に絞られてくると思います。
長期の融資を組むことが出来れば、手元に残る現金も増えますからね。
では、長期の融資を組んだ場合、将来的にどういった収支になっていくか、みなさまはご存知でしょうか?
20年後の収支がしっかりと頭に入っていますか?
入っていない場合、不動産投資家としては結構危険な状況になっている
かもしれません。
具体的な数字を用いて考えてみましょう。
以下のような物件を購入したとします。
物件価格1億円、築10年、RC、利回り10%、
融資期間35年、金利4.5%、頭金10%、返済は元利均等。
こんな物件あったら、(場所にもよると思いますが)悪くはない物件と思われる
方もいらっしゃるのではないかと思います。
実際、この物件を買った場合の1年目の収支は
(現金がどれぐらい増えるか)というと、
大体260万円です。
月々約23万円が入ってくる計算です。嬉しいですね。
この数字だけ見ると、すごく良い物件に見えてきてしまうと思います。
しかし、この数字の裏には絶対に考えておかなければいけない情報も
含まれているのです。
あなたは、20年後にこの物件のローン残高がいくらになっているか
把握していますか?
35年ローンだから大体半分ぐらいかな?といったことを思っていませんか?
そう思われているのであれば、正直かなり危険です。
実は、借り入れ額の59%がまだローン残高として残っているのです。
(今回の場合、借入額9000万円に対して、ローン残高5300万円です。)
物件から得られる家賃収入を全く使わずに全部貯めていれば、
20年後には5200万円が貯まっている計算になりますので、
素晴らしい投資になると思います。
一方、家賃収入を全て使ってしまっている場合、、、、
少なくとも、物件を5300万円で売ることができなかったらキャッシュが
持ち出しになってしまうのです!!
(実際には5300万円で売れたとしても頭金1000万円と諸経費約800万円は持ち出しです。)
しかも、上の例は、家賃の下落もなく、空室率も0%とし、
且つ修繕積立金も全くない場合を想定して計算した数字です。
ここで、空室率10%、家賃下落率を5年毎に5%下落、年間の修繕費用が50万円かかったと仮定します。
そうした場合、この物件の収支はどれぐらいになるか、
イメージできるでしょうか?
家賃の下落がありますので、5年毎の収支を記載しますね。
1年目 : 130万円
6年目 : 90万円
11年目 : 50万円
16年目 : 10万円
21年目 : -25万円
こんな感じです。なんと20年目には赤字になってしまっています。
20年経過後の家賃を基準にした場合、購入時に利回りが10%だった物件の利回りは
8.1%です。
また、20年後のあなたの残債である5300万円で販売した場合、購入者から見ると、
この物件の利回りは15%です。
7100万円(頭金と諸経費込)で販売した場合の利回りは何と11.4%。
場所にもよりますが、築30年のRCを利回り11.4%で売ることは
かなり難しいと思います。
これから物件の購入を検討されている方々は是非この
将来の収支も把握された上で投資に臨んで下さいね。
将来の出口戦略を含め、物件の収支を計算する為のこんなソフトがありました。
このソフトがあれば、出口戦略もしっかりと把握できそうです。
http://brainooya.xsrv.jp/nr/64/
物件購入検討シリーズ、RCマンション
物件の購入検討シリーズ第二弾!
前回は木造の物件でしたので、今回はRCの物件を取り上げてみようと思います。
↑クリックすると拡大表示します。
物件価格:6000万円
築:21年
間取:1k14戸 + 店舗
①利回り
前回同様利回りをまずチェックします。
物件概要書上の利回り10.2%から各部屋の前提家賃を計算すると、
3.4万円であることが判明。
早速スマイティで周辺相場をチェック。
同じような物件の相場を見てみると、2~3万円であることが判明。
この時点で、期待してるほどの利回りを得ることは難しいことが分かります。
②融資
利回りは低いですが、長期の融資を引けるのがRCの魅力!
本物件に関する融資条件を見ていきます。
RCの法定耐用年数47年から築年数21年を引いた
26年がこの物件の一般的な融資期間です。
頭金10%を投入、物件価格の90%で融資を受け、金利4.5%、元利均等で返済した場合、月々の返済金額は約30万円です。
一方、物件から得られる家賃収入は51万円
即ち、月々の手残りは何と21万円!
返済比率は高いけど、収入はちゃんとあるじゃないか!
ということで、次に担保価値の計算に行きましょう。
③担保
前回同様、物件と土地の価格を計算します。
物件:RCの場合は1m2当たりの価値は18万円と一般的に言われてます。
この物件の面積は370m2、築年数21年であることから、この物件の建物の価値は
18 x 370 x 21/47(RCの法定耐用年数) = 3000万円。
土地:この物件の周辺の路線価は6万円でしたので、土地面積170m2であることから、土地の価値は
6 x 170 = 1000万円。
土地と建物を足すと、4000万円です。
大分信用が毀損してしまいますね。残念。
④経費
RCの場合、木造と違ってさらに検討しておかなければいけない項目があります。
それは、エレベーターの費用及び固定資産税。
エレベーターは以前メルマガでご紹介させて頂いた通り、エレベーターを売るだけではメーカーは赤字です。エレベーター業者はメンテナンスで儲かるのです。
即ち、メンテナンス費用は高い!のです。
気になるこのエレベーター保守費用、少なくとも月5万円は見ておいた方が良いと思います。
また、固定資産税に関しては、担保価値と一見相反するコメントになってしまうのですが、担保価値が高い=固定資産税評価額が高い=固定資産税が高い。となってしまい、担保力が高い物件程、固定資産税が高くなり、結果収益を圧迫してしまうのです。
本物件はあまり担保余力がない物件ですが、4000万円であっても年間で40万円ぐらいは税金として払わないといけないと思います。
即ち、エレベーター費用と固定資産税費用を加味すると、月々の返済金額は
30万円(ローン)+エレベーター(5万円)+固定資産税(3万円)=38万円が毎月発生する費用となります。
ずっと満室経営が出来ていたとしても、月々の収入は12万円です。
ええ、危なすぎます。
ローン期間が長いこともしっかり考えないといけません。
26年後に今と同じ賃料で入居者が入るわけがありません。
賃料が9000円下がると、ずっと満室経営をしてようやく
プラスマイナスゼロです。
危ないですよね?
しかも、融資期間が長いということは、支払い利息が多いということです。
借入金の返済は負債の減少です。負債を全部返済しきれば、その負債の見合いである物件はあなたのものになります。
一方、利息は費用です。資産の減少です。
RCを買う場合は、長期的な視野を持って購入を検討されることをおススメ致します。
結論
激しく指値。
担保価値である4000万円ぐらいまで値段を下げることが出来れば、買う価値があると思います。
RCか木造か
ローンをどれだけ長く引くことができるか
ということと、利回りがどれだけ高くなるか、
その兼ね合いが難しいですよね。
RCだと長期でローンが組めるけど、
利回りが低くなってしまうのが一般的です。
一方、融資の期間が短い木造などは、
利回りが高くなる傾向があります。
結局どんな物件を選べばええねん!と悶々とされている方の為に、
とある表を作ってみました。
それは、縦軸:借入期間、
横軸:利回り として、
家賃収入の内手元に残る割合をそれぞれの場合で計算しております。
例えば、利回り12%のRCの物件があったとします。
この物件の返済比率を家賃収入の50%以下にする為には、26年の融資を組まなければいけません。
(RCの法定耐用年数が47年なので、築21年までの物件であれば対応できますね。)
一方、利回り20%の物件があったとします。
この物件の返済比率を家賃収入の50%以下にする為には、12年でローンを組めればOKです。
(木造の場合は、法定耐用年数が22年なので、築10年までの物件であれば対応できます。)
うーん、上記の事実から判断するに、RCの方がキャッシュフローを残せそうですね。
それでは、逆の見方で考えてみましょう。
返済期間20年のローンを組むことが出来た場合、返済を50%以下にする為には、
利回り14%以上の物件を探さなければいけません。
返済比率10年のローンを組むことが出来た場合、利回り23%以上の物件を買わなければいけません。
やはり長期でいかにローンを引っ張ってくるか、ということが
一つのポイントになってきますね。
ただ、これはあくまで超ざっくりな資産であり、RCは管理費などがかさむというリスクがあります。
また、融資期間が短い物件は、借入金返済後、家賃収入を全て手に入れることが出来ます。
(利回りがぐーんとあがります。)
RCは物件の価格も高いので、最悪債務超過に陥ってしまうというリスクもあります。
(そうなってしまうと、もう立ち直ることは極めて困難です。投資の世界から退場せざるをえなくなってしまいます。)
ということで、上記踏まえた上での個人的なおススメ不動産投資パターンは、
1. 頑張って利回りが高い物件を探す。その際、物件の融資は、最悪
給料でも賄うことができる額までに抑える。
2. 1. の物件で得た知識をベースに、RCに取り組み、一気にキャッシュを増やす、
という感じでしょうか。